母は 舟の一族だろうか。 こころもち傾いているのは どんな荷物を 積みすぎているせいか。 幸いの中の人知れぬ辛さ そして時に 辛さを忘れている幸い。 何が満たされて幸いになり 何が足らなくて辛いのか。 舞という字は 無に似ている。 舞の織りなすくさぐさの仮象 刻々 無のなかに流れ去り しかし 幻を置いてゆく。 ――かさねて 舞という字は 無に似ている。 舞の姿の多様な変幻 その内側に保たれる軽やかな無心 舞と同じ動きの。 器の中の 哭。 割れる器の嘆声か 人という字の器のもろさを 哭く声か。
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